独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター臨床研究センター 感覚器センター

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聴覚・平衡覚研究部門

再生医療研究室

室長 落合 博子

研究室の紹介

形成外科領域においてScarless wound healingは長年の研究課題であり、実際の臨床現場で手術手技や創傷被覆剤の工夫、成長因子の投与などが試みられてきましたが、瘢痕を軽減こそしても消失させるまでには至っていません。一方、骨髄より採取される間葉系幹細胞(MSC)は、間葉系への多分化能を有するとともに、生体に移植するとその環境に合わせて分化することも報告されており、この現象は間葉系幹細胞が皮膚創傷の再生にも関与する可能性を示唆しています。私たちはこのMSCの能力に注目し、2001年よりMSCが皮膚創傷治癒に与える影響を検討してきました。そして、ラットMSCを皮膚の創に移植すると瘢痕形成が抑制され、正常に近い皮膚構造が再生されることを証明し、報告してきました(Satoh H.et.al:Cell Transplant,2004,13(4):405-412)。その後、ブタでも同様の現象を確認し、瘢痕抑制のメカニズムの解析を続けています。

以上の結果を発展させ、私たちはヒトへの臨床応用を行うために準備を進めてきました。具体的には、2004年9月に独立行政法人国立病院機構東京医療センターにおいて、2006年6月に国立成育医療センターにおいて梅澤明弘先生のご尽力により、「ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を用いる事による皮膚創傷治癒の瘢痕形成抑制」に対して倫理委員会の承認を得ました。国立成育医療センター研究所では製造管理及び品質管理規則(Good Manufacturing Practice, GMP基準)を満たす「セル・プロセッシング・センター(CPC)」が承認され、厚生労働省直轄研究機関としては初のCPCとして整備されています。そこで、当施設で患者骨髄血と血清を採取、国立生育医療センター研究所でMSCを培養し、当施設で手術・細胞移植を行います。現在、実際の臨床応用を開始しております。今後臨床応用によって、皮膚創傷の瘢痕化を抑制することで先天性疾患の治療や美容形成手術に大きく貢献することが期待されています。

*特願2005-51661 「瘢痕のない創傷治癒能を有する細胞およびその調整方法」
  佐藤博子、梅澤明弘、貴志和生 2005.2.25.出願


室長略歴

平成 3(1991)年3月28日
東北大学医学部卒業
平成 3(1991)年6月
山形県長井市立病院外科研修
平成 6(1994)年5月
慶応義塾大学形成外科学教室入局
平成11(1999)年4月1日
日本形成外科学会専門医
平成 12(2000)年1月
平塚市民病院形成外科医長
平成 15(2003)年4月
国立病院東京医療センター形成外科医長
平成15年5月
第2回日本再生医療学会で優秀演題として表彰
平成17(2005)年9月12日
医学博士
平成 19(2007)年5月
臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部再生医療研究室長併任

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